椅子職人からの想像を絶する告白
「人間椅子」概要
著者:江戸川乱歩
役所勤めの夫を持つ女流作家の佳子。
そんな佳子の元にはファンレターや、作家志望の人たちからたくさんの手紙が届きます。
その中の一通を読んだ佳子。
手紙の主は椅子職人で、自分の容貌の醜さから自ら製作した椅子の中で生活しているという。
そして、椅子に座る女性のぬくもりを感じ、そこに喜びを感じているというのでした。
読み進めるにつれ怯え始める佳子。
登場人物
登場人物はとても少ないです。
佳子
人気女流作家
夫は外務省勤め。豪邸で暮らしている。
私
椅子職人
醜い容貌をしている。佳子に惹かれて手紙を送る。
本当に椅子に入っていたのか?
現実的に考えて人間が一人入って生活できる設計の椅子。
どう考えても無理なんじゃないでしょうか?
しかも数日間の食料なら入れて置けるとかは・・・さすがにない。
さらに対象者が椅子に座った時にぬくもりを感じる。
というくだりが、気持ち悪いけれど
一体どんな椅子なのさ!ってツッコミたくなりました。
これは完全に椅子職人の創作であります。
単なるストーカー
そうなると椅子職人というのも怪しくなってきました。
醜い容貌で社会と隔離されているというのは、本当かもしれないです。
もし佳子の熱狂的なファンで、ストーカーだというのなら、
書斎の窓のところに鉢植えがある事まで知っているのですから、かなりハードなストーカーと言えます。
佳子も思わず、気持ち悪くて逃げ出してしまいますが、椅子に人が入っているとは本気にしてないでしょう。
実は作家志望か作家
個人的にはこの線が濃厚な気がします。
冒頭でも佳子宛てに原稿をいきなり送ってくる人も、かなりいると書かれています。
そして佳子を震え上がらせて二度目の手紙でオチ。
佳子を震え上がらせ夢中で読ませたのですから、才能ありますね(笑)
書斎の窓に鉢植えがあることを知っているので、いくつか考えてみると
- 作家志望であり佳子の熱狂的ファン
- 将来作家を目指している出版関係者
- 佳子のライバル作家で嫌がらせ
熱狂的ファンは兼ストーカーですね。
出版関係者とかライバル作家とかなら。佳子の家に来たことがあってもおかしくないです。
あり得ないけど夫のイタズラ
外務省に勤めている夫。
最近では妻の佳子が有名になり、すっかり影が薄くなってしまった。
そんな夫は内心、妻の成功を疎ましく思っていた。
自分の方が偉いのに女流作家がどうした、小説なんてものは書こうと思えば俺だって書けるんだ。
そんな感じで妻にイタズラをしたとかはどうだろう?
お手伝いさんが淡々と手紙を持ってくるのも何となく違和感。
もしかしてグルなのか?
妻が一通目の手紙を読んで恐怖したら、二通目を渡すようにと指示していたのかも。
冷めきった夫婦みたいな描写があったので、これは私の妄想です。
「人間椅子」を読んだ感想
全編恐怖というより、気持ち悪さを感じてしまいました。
結局、椅子職人の素性は分からないままです。
作家志望なのか、本当に椅子職人なのか、ただのストーカーなのか?
真実は読む人の心の中。
読者の想像力を掻き立てるような作品になってますね。
ただ椅子の中に入って最初は盗みを働いていたが、途中からどうでも良くなったみたいな箇所が生々しくて・・・
本当に椅子に入っていたのかもって思う部分はありました。
ホラーは怖いので読めないのですが、これは面白かったです。
映画化
1997年と2007年に映画化されています。
2007年度版は小沢真珠さんが主演。
なんとなく想像できるのでハマってますね。
ただ、ごく一部でしか配信されていないので見る機会がなさそうです。
何度かドラマ化もされており、舞台にも使われています。
たしかに登場人物は二人でワンシーンでいいし、舞台に向いてそう。