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ゆるくて切なくて癒される「パンとスープとネコ日和」群ようこ

2025年10月2日

しまちゃんと店を切り盛りする アキコの元に

ネコのたろがやってきた

「パンとスープとネコ日和」概要

著者:群ようこ

大好きな群ようこさんの小説です。

父親を知らず母子家庭で育ったアキコ。

食堂をやっていた母親が亡くなり、天涯孤独となります。

勤めていた出版社を辞めて母の店を改装し、シンプルなカフェを始めるが、当初はうまくいかず・・・

周りの商店街から色々言われながらも店を徐々に繁盛させていきます。

同時に店先にいた野良ちゃんをタロと名付け飼い始めたりなどして・・・

そしておせっかいな近所の人から亡くなった父親の事を聞かされ、そっと様子を見に行くのだった。

登場人物

<アキコ>
猫のタロと二人暮らしの53歳。
6年前に母を亡くし、カフェを始める。
<しまちゃん>
アルバイトの女の子
元ソフトボール部で体格が良い。
<カヨコ>
アキコの母。67歳で亡くなるまで食堂をやっていた。
30歳年上の男性と不倫をしてアキコを産む。
<タロちゃん>
キジトラの3歳のネコ。
アキコの店の横で蹲っていたところを拾われる。
<タナカさん>
カヨコの知り合いでおせっかい。
息子が亡くなり、嫁と対立している。

アキコとカヨコ

母娘ですが、全く正反対の性格なのが面白い。

きっとアキコは父親に似たのかもしれません。

母のカヨコは明るく陽気で少し適当。

商店街に食堂を構え、少々口の悪いおじさんなどの常連客が多数。

何となく男好きするタイプでしょうか。

それに引き換え、アキコは真面目できちっとしたタイプ。

カヨコのやっていた食堂は、常連がワイワイやっている茶の間の延長みたいな食堂。

メニューもズラリと並んでいたが、アキコの始めたカフェは修道院みたいな雰囲気で、メニューは素材を厳選して日替わりのみ。

性格だけではなく、お店も全く違います。

オープンを楽しみにしていた周りの人たちですが、あまりにもカヨコの店と全く違うので失望されてしまいます。

少しアキコの成長物語的なものも入っていたりします。


「アキコはいつもまじめに考えすぎなんだよ。人間、どこかずれたところがないと、息が詰まるよ」

「パンとスープとネコ日和」より

アキコは母の言葉を思い出すのでした。

何と言ってもネコのタロ!

私もかなりのネコ好きです。

もうタロの描写が可愛くて可愛くて。

タロが亡くなり、アキコは酷いペットロスに陥ります。

その気持ちの描写の一つ一つが手に取るように共感できます。

アルバイトのしまちゃんに、かなり助けられるアキコです。

そして立ち直るきっかけとなる言葉もあり、徐々に前を向いていくアキコ。

この辺りは思わず涙してしまいました。

本当にペットの存在って偉大だと改めて確信しました。

どこにでも一人はいそうな、おせっかいのタナカさん

ものすごーくおせっかいな人なんです。

決して悪い人ではないというのが、とても分かるのですが・・・苦手!(笑)

「おせっかいだと思ったんだけどね、あれからあたし当時の顔見知りにきいてみたの。そしたら色々と話が出て来てねえ。お母さんが亡くなって、あなたはお父さんのことを知るすべがないじゃない。それは子供としては不幸じゃないかと思ってさ、おせっかいだとは思ったんだけど、わかったことだけ今日、話にきたのよ」

「パンとスープとネコ日和」より

誰も頼んでいないのに、父親の事をわざわざ知らせにきたのです。

悪意がないからアキコも聞くしかないという状況で、もちろん田中さんは話す気満々。

でもこの人のお陰でアキコは行動を起こすんですが・・・でも、ねえ・・・。

「パンとスープとネコ日和」を読んだ感想

とにかく大好きな雰囲気の小説です。

ゆるい日常を描きつつも少し日常とは違う出来事があって、主人公は少しづつ前に進んでいくという。

好みドストライクの小説でした。

ペットを飼っている人ならグッとくるシーンがいくつもあり、共感できること間違いなしです。

どこかアキコの淡々としているのに少々頑固な一面も好きです。

アキコとしまちゃんの関係も好きだし、アキコのカヨコに対する感情もごく自然。

親だからって尊敬するでもなく、かといって少々いい加減な母親を嫌悪するでもなく、割と現実の親子にいそうな感じ。

そしてタロが亡くなり、アキコが母親が亡くなった時と比べる描写が結構多いのですが、もろ共感しました。

実は私も身内の死よりもペットの死の方が何倍も悲しかったからです。

シリーズ化されているので、この雰囲気が気に入った方ならずっと追いかけて読むのもありです。

他にも猫が登場するエッセイや本をたくさん出されています。

好きな場面

いくつもありますが猫の場面はすべてです。それ以外だと

  • アキコが気づいたらあっという間に45歳だったってところ
  • 母の料理は味が濃い、しかも年々歳を取るごとに濃くなっているってところ。普通は逆だろ!って突っ込みたくなりました
  • 学生時代に付き合っていた彼がサラリーマンとなり普通になって魅力がなくなったってぼやいているところ
  • 角砂糖を語るところ

「昔っからこうしてるんです。一度、砂糖壺に変えたら、古くからの常連さんで『角砂糖はどうした。おれはスプーンに角砂糖をのせて、そーっとコーヒーの中につけて、だんだん下からじわーっと、白いのが茶色くなって、ぐずっと崩れるのを見てるのが好きなんだ』って怒る人がいてね。砂糖くらい、どうでもいいじゃねえかって思ったんだけど、そういうものも全部ひっくるめて店なんだなって気が付いて、それからは反省してずっとこれなんですよ」

「パンとスープとネコ日和」より

気付いたら45歳だったって、結構最初の方に出てきて思わず笑ってしまいました。

カフェの描写も多くて全体まったりします。

ドラマ化

2013年にドラマ化されています。

主人公は小林聡美さんで思わずピッタリ!って思いました。

ゆるい雰囲気は「かもめ食堂」でも発揮されていました。

「かもめ食堂」も群ようこさん原作でしたね。

ただまだ見た事ありませんが、たまにAmazonプライムビデオで配信されているので見つけたら見たいです。

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